大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(れ)1309 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人竹岡輯の上告趣意について。

原判決が証拠に挙示している被告人の原審公判廷における供述及びAに対する検

察事務官の聴取書中の供述記載によれば、所論のような事情で被告人が本件時計を

占有するに至つたことが看取される。しかし、前記Aに対する聴取書中には「……

同人(被告人のこと)は私が腕から外していた私の腕時計をその時同人の腕にはめ

ていた様に記憶して居りますがその後同人が私に返して呉れた記憶がありません…

…」との供述記載もあるのであるから、本件時計がAの意思に基かず全く偶然に同

人の占有から離れた物ということはできない。それゆえ、原判決挙示の証拠から窺

われる事実を論拠として本件横領が所論のように刑法二五四条に規定する占有離脱

物横領罪に当たるものと断定することはできない。そしてまた、刑法二五二条は犯

罪の構成要件として「自己ノ占有スル他人ノ物ヲ横領シタル者」と規定しているの

であるから、原判決が被告人において友人A所有の原判示腕巻時計一個を占有保管

中擅に他に売却横領した事実を認定して刑法二五二条を適用処断したのはもとより

正当であつて原判決には所論のように法律の適用を誤つた違法はない。

よつて、旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。

以上は、裁判官全員の一致した意見である。

検察官 濱田龍信関与

昭和二五年一二月一九日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

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裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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